- 読解力って何だろう?
- 読解力ってどうやって習得するの?

しろろ
こんにちは、しろろです。
相手の言葉を別の意図で捉えてしまった経験はありませんか?
実は、読解力が足りていないと、「認識の違いで仕事でミスが起きる」「同僚とうまくコミュニケーションが取れない」などの問題が起きる可能性が高くなります。
「学ぶ」の語源が「真似ぶ」というように、伝えるプロの教えを忠実に実践することで読解力の向上を目指しましょう。
本記事では、池上彰さんと山口拓朗さんの著書を参考に、読解力が何であるかを深堀し、習得する方法をご紹介します。
池上彰氏・山口拓朗氏とは?|それぞれのバックグラウンドと専門性
まずは、今回紹介する本の著者についてお伝えします。
池上彰氏の経歴
◆過去の職務
- NHK記者(1973年〜2005年)
- 「NHK週刊こどもニュース」キャスター(1994年〜2005年)
◆現在の職務
- ジャーナリスト
- 名城大学教授
- 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院特命教授
- そのほか、多数の大学で教鞭を執る
◆著書
複雑な社会問題や国際情勢を、誰にでもわかりやすく解説する手法に定評があり、ニュース解説者として多くのメディアで活躍しています。
山口拓郎氏の経歴
山口氏の経歴をご紹介します。3
◆過去の職務
- 雑誌編集者(株式会社芸文社、1996年〜2002年)
◆現在の職務
- フリーライター(2002年〜)
- 伝える力【話す・書く】研究所 所長
- 山口拓朗ライティングサロン 主宰
- 株式会社アップリンクス 取締役
◆著書
- 『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則』
- 「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全
- そのほか、多数の著作がある
「伝わらない悲劇から抜けだそう!」をモットーに、論理的でわかりやすい文章の書き方や、セールスライティング、WEBライティングなどの実践的ノウハウを提供しています。
読解力とは何か?|2人の考え方の違い
相手に分かりやすく伝えるプロである池上氏と山口氏が考える『読解力』を確認しましょう!
池上氏の読解力:論理的読解力×情緒的読解力
池上氏は『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? 』4において、読解力には2種類あると説明しています。
論理的読解力:論理的な文章を読み解ける力
情緒的読解力:情緒的な文章を読み解く力
池上彰著『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? 』
論理的読解力は、違う立場の人の主張に向き合う際に役立ちます。
自分はA案、相手はB案を掲げた時、自分と異なる意見であっても、相手の主張を聞いて理解することができるためです。
情緒的読解力は、仕事ででミスをした同僚と話す際に役立ちます。
ミスをして落ち込んでいる同僚の気持ちを読み取れれば、責めるのではなく、寄り添ってあげたほうがよいと分かるはずです。
論理と感情を組み合わせることで、物事の本質を捉えます。
山口氏の読解力:表層読解→深層読解→本質読解
山口氏は『読解力は最強の知性である 1%の本質を一瞬でつかむ技術』5において、読解力には3つの要素があると紹介しています。
本質読解:核心を読み解く
表層読解:言葉を曲解することなく読み解く
深層読解:言葉の裏や奥にある意図・真意・意思・含みなどを読み解く
山口拓朗著『読解力は最強の知性である 1%の本質を一瞬でつかむ技術』
この3つの読解を、表層読解→深層読解→本質読解の順に行うことで、物事の本質を正確に捉えます。
表層読解では、文章の構成やキーワードなどに注目することで、文章を正確に理解します。
深層読解では、言葉のニュアンスや非言語情報から、文章からは読み取れない感情を汲み取ります。
本質読解では、物事の「なぜ」「そもそも」を質問することで深く思考し、話の核を見極めます。
表層読解で論理的に言葉を読み解き、深層読解で感情面を考慮し、本質読解で物事の本質を捉えます。
読解力とは、二側面で本質を読み取ることである
池上氏、山口氏の意見をまとめると、物事の本質を読み取るためには、論理と感情の両方が必要だと言えます。
論理だけでは、相手の思いを汲み取れない場合がある
文章をそのまま理解するだけでは、隠された”話し手の思い”は分かりにくいです。
例えば、上司に「今日は眠そうですね」と言われた時、上司は心配しただけなのに、部下が「自分は責められている」と感じてしまうことです。
文字だけでは、相手が伝えたい意図を判断できない場合があるので、話し手の思いを汲み取るように心がけましょう。
感情だけでは、伝えられた内容を正確に理解できない場合がある
話し手の気持ちが分かっても文章を理解できなければ、あなたが思い違いをしている可能性があります。
例えば、上司に「○○したほうがいいかもね」と提案された時に、「絶対に○○しないといけない」と勘違いしてしまうことです。
文章の語尾までしっかり認識する必要がありますね。
仕事における読解力のズレとその弊害

しろろ
相手の文章や意図を正しく読み取れず、以下のような経験はありませんでしたか?
- メールの意図が読み取れない
- 上司の指示を表面だけ読んでしまう
- 会議での発言が独りよがりになる
このような状況を避けるために、読解力の向上は必須になります。
読解力の鍛え方
池上氏と山口氏による読解力の向上方法をご紹介します。
各実践方法を試してみて、感じたことなども一緒にお伝えします。
池上流|読解力の鍛え方
『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? 』では、読解力を身に着ける方法が4つあると紹介しています。
まずは「いい文章」を目指して書く
分かりやすい文章を書こうと意識すると、上手な文章の工夫に気づけるようになります。
本書で紹介された①②の方法をお伝えします。
①書いた文章を人に読んでもらう
自分以外の人に文章を読んでもらい、分からない点を指摘してもらいましょう。
自分では気づけなかった理解しにくい点を知れるので、文章作成の上達に繋がります。

しろろ
人に読んでもらうハードルが高い場合は、ChatGPTなどの生成AIを確認してもらうといいですよ。
文章の改善点を教えてくれるので、自分だけでは気づけない学びがあります。
②絵文字、スタンプ、記号を使わずに文章を書く
感情表現を上記に頼ると、文章で真意を表す機会を失います。
文章だけで自分の真意を伝えられるよう書く訓練は、ビジネスメールにを書く時にも役立ちます。

しろろ
②はかなり難しいです。すぐに「!」や「…」に頼ってしまいます。
まずはたくさん書いて、文字だけで伝えられるよう心がけます。
「相手が言いたいこと」を常に考えながら聞く
言葉足らずな報告を受けた時に、「たぶんこういう意味だろう」と自己完結せず、「それってどういうことなの?」などと聞き返す習慣をつけましょう。
ポイントを突いた質問ができるようになれば読解力が身に付きますし、相手にとって「良い聞き手」になれます。
相手が話す内容が分からなければ首を傾げ、理解できれば頷きましょう。
全身を使って相手の話を聞くと、受け手の理解度を判断しやすいので、相手は話しやすくなります。


しろろ
不明点を流さず、相手にきちんと確認したら、相手の話を理解しやすくなりました。
疑問を残さないことが大切です。
意識的に「人に分かりやすく」伝える
相手に理解してもらうために、意識してほしい①②③をご紹介します。
①相手が知りたいことをまず伝える
相手が求めることを理解し、最初に話すようにしましょう。
例えば、上司から〇〇が終わったかを確認されたとします。
「▽▽が~~で、◇◇を~~で…」と話すのではなく、「〇〇が終わりました。その時に▽▽が~~で、…」と話します。
結論が最初に来ると、聞き手は安心して話の続きを聞けます。

しろろ
相手に話す前に、PREP(結論→理由→具体例→結論)法を意識して、文の構成を考えておきましょう。
突然話すと、どんな順で伝えればよいのか分からなくなってしまうので、話す前に決めておけば安心です。
②50文字以内に要約してみる
新聞の一面に載っているコラムを50-100文字で要約すると、その話が伝えたい事を考えるので、読解力を鍛えられます。
要約が上手になれば、相手に何かを説明する時に、コンパクトに話せるようになります。

しろろ
私は毎日、天声人語を50文字程度で要約しています。
人を引き込む文章に「すごい」と感心しながら、時事に絡んだ知識が身につくのでオススメです。
③きちんとした文章で会話をする
主語、述語、目的語などを省略することは多いですが、誤解を生む可能性があるので、きちんと説明するよう心掛けましょう。
例えば、子どもから「お母さん、紙。」と言われた時に、「紙がどうしたの?コピー用紙?トイレットペーパー?」と聞くようにします。
面倒くさいですが、自分の表現能力と読解力が落ちる原因になりうるので、正しい文章で会話したほうが望ましいです。

しろろ
きちんとした文章で話すと決めてから、自分の言葉足らずを痛感しました。
5W3H(What / Who / Where / When / Why / How / How much / How many)を意識して話すよう心がけています。
「自分が分からないこと」を考えながら、新聞や本を読む
「単語が分からない」「予備知識が不足していて分からない」のように、分からないことを意識しながら読む習慣により、読解力が身に付きます。
世の中には自分と全く違う考えの人いることを理解し、広く受け入れる寛容な心が育ち、人間への洞察力が身に付きます。
情緒的読解力が鍛えられ、立場の違う人に共感できるようになります。
さらに、自分の行動が他者や世界にどのような影響を及ぼすのかを考えられるようになります。
例えば、読書を通して、いじめられると相手はどんな気持ちになるかを想像するようになります。
相手の心を読み解く力が身に付きます。

山口流|読解力の鍛え方
山口氏は読解力を高めるための5つのアプローチを紹介しています。
話の流れと論理を整理する
話の流れを追うことでキーメッセージを見つけ、文章の繋がりから矛盾や論理の飛躍がないかを確認します。
文章の構成や接続詞に注目するといったテクニックにより、話の流れや主張の理解に繋がります。

しろろ
私と同じく、文章をなんとなく読んでしまうタイプは矛盾に気づきにくいですよね。
まずは一言一句を丁寧に読むことを習慣にしましょう。
受け身にならずに質問する
質問により疑問を解消することで、物事に対する理解が深くなります。
話の中で質問を思い浮かべるには、「ただ相手の話を聞く」のではなく、「○○のために、相手の話を聞く」というように目的を明確にしましょう。
「相手の悩みを解消する」と決めてから相手の話を聞くと、目的に見合った情報を受け取ることができます。

しろろ
相手を大切な人だと思って、話を聞くことも重要だと思います。
質問を考えながら話を聞くのは神経を使うので疲れます。
大切な人であれば、相手のために頑張って話を熱心に聞けるのではないでしょうか。
実際に体験して五感で感じる
「百見は一験にしかず」というように、心や身体で感じることで、知識だけでは読み解けない物事の本質へ近づけます。
実際に体験できなくても、読書による追体験で知見を広げることはできます。
読む本のジャンルによって効果は異なり、小説であれば「登場人物の感情や思考」、評論であれば「論理的な文章構成」を学ぶことができます。

しろろ
意見交換により視野を広げる
人によって物事の見方は変わるので、他者と意見を交わすことで、自分だけでは気づけない視点を得ることができます。
新たな一面を知ることで、物事の解像度が高くなり、本質へと近づきます。

しろろ
相手の意見は全肯定で受け止めましょう。
自分とは異なる意見の場合、「その発想は無かったです!勉強になります」と伝えます。
自分も相手も自身の主観で話していて、優劣はないので否定しないようにしましょう。
正解を決めつけずにアップデートし続ける
現時点で正解だと思ったことでも、時代の変化によっては別の答えが最適になる場合もあります。
状況の変化に合わせて答えを変えられる柔軟さが必要になります。

しろろ
「今の方針がずっと続くとは限らない」という意識を持つことで、他の選択肢も残しておけると思います。
まとめ
今回は池上彰氏と山口拓朗氏の著作から”読解力”についてまとめました。
池上彰氏 | 山口拓朗氏 | |
紹介した著書 | 『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? 』 | 『読解力は最強の知性である 1%の本質を一瞬でつかむ技術』 |
読解力とは | 論理的読解力×情緒的読解力 | 表層読解→深層読解→本質読解 |
読解力を向上させる | ・まずは「いい文章」を目指して書く ・「相手が言いたいこと」を常に考えながら聞く ・意識的に「人に分かりやすく」伝える ・「自分が分からないこと」を考えながら、新聞や本を読む | ・話の流れと論理を整理する ・受け身にならずに質問する ・実際に体験して五感で感じる ・意見交換により視野を広げる ・正解を決めつけずにアップデートし続ける |
池上氏も山口氏も「疑問点は質問する」「読書をする」など同じ要素を大切にしていることが分かりました。
まずは、実践できそうな項目を1つだけでも取り組んでみましょう。
最後に
池上彰著『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? 』では、池上氏の経験や取材をもとに読解力を深堀しています。
また、山口拓朗著『読解力は最強の知性である 1%の本質を一瞬でつかむ技術』では、物事を読解するためのスキルを紹介しています。
これらの本を読んでいただければ、今回の記事でご紹介した内容を深く理解し、さらに読解力を使えるようになれると思います!
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