- MECEって何?
- MECEのメリットって?
- MECEを使えるようになる方法は?

しろろ
こんにちは、しろろです。
ロジカルシンキングが苦手で、伝えたいことがうまく伝えられない経験はありませんか?
「会議で話がまとまらない」「提案がいつも抽象的だと言われる」「問題解決に行き詰まることが多い」など、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
実は、多くのビジネスパーソンが抱えるこの悩み、「モレなく、ダブりなく」物事を整理することで解決できるんです。
私自身、ロジカルシンキングに苦手意識がありましたが、MECE(ミーシー)を意識することで、物事を論理的に整理できるようになりました。
MECEとは、Mutually Exclusive(相互に重複せず)、Collectively Exhaustive(全体を網羅)の頭文字をとったもので、「モレなく、ダブりなく」情報や要素を整理する手法です。
この手法をマスターすることで、問題解決や議論、プレゼンテーションにおいて、明確な主張と説得力を備えた論理展開が実現できます。
今回はMECEを活用するメリットを紹介した上で、その手法と習得方法をご紹介します。
MECEって?
MECE(ミーシー)とは、モレなくダブりなくものごとを整理する考え方です。Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの頭文字をとっています。
- Mutually 互いに
- Exclusive 排他的な(重複しない)
- Collectively 全体的に
- Exhaustive 網羅的な(漏れがない)

MECEは企業研修などでも取り上げられ、さまざまな課題を論理的に整理するためのフレームワークとして広く活用されています。
「モレ・ダブり」があるとどうなる?
「モレなく、ダブりなく」情報や課題を整理することの重要性は、「モレ」や「ダブり」が引き起こす具体的な問題や損失を想像すると、より明確になります。
これらは、日々の業務やビジネスの意思決定において、私たちが気づかないうちに陥りがちな、非常に危険な落とし穴なのです。
①モレがあると重要な情報を見落とす
モレがあると、手持ちの情報で検討した結果が正しくない情報に「モレ」がある状態とは、重要なピースが欠けたパズルを完成させようとするようなものです。
見えていない部分にこそ、問題の真の原因や、成功への鍵が隠されている可能性があります。
これを見過ごしてしまうと、いくら努力しても的外れな結果に終わり、時間やコストを無駄にするだけでなく、ビジネス機会を逸してしまうことにもつながりかねません。
たとえば、売れない製品を良くするために性能向上を試みても、ユーザーは見た目を重視していたので結局売れない場合が考えられます。
このように、「モレ」は意思決定の精度を著しく低下させ、非効率な投資、対応の遅れ、そして致命的な機会損失を招きます。
②ダブりがあると非効率な議論になる
一方、情報に「ダブり」がある状態は、すでに通った道を何度も歩き、同じ景色を繰り返し眺めるような非効率さを生み出します。
同じような議論や作業が繰り返されることで、貴重な時間とリソースが無駄になり、組織全体の生産性を著しく低下させてしまいます。
たとえば、複数の部署で協力して仕事を進める場合、連携が不十分で各部署が似た仕事をしていたら生産性が下がります。
「ダブり」は、貴重な時間とリソースを浪費させ、会議の生産性を低下させるだけでなく、関係者のモチベーションを削ぎ、組織全体のスピード感を著しく鈍らせる原因となるのです。
このように、「モレ」と「ダブり」は、私たちの日々の仕事やビジネスの成長において、想像以上に大きな足かせとなります。
過不足なく情報を収集し、論点を整理するMECEの思考法は、これらの非効率性やリスクを排除し、最短距離で本質的な問題解決や、成果の創出へと導いてくれる強力な武器となるのです。
MECEのメリット
MECEを活用することで、以下のような2つの大きなメリットがあります。
①複雑な思考を「見える化」し、迷いなく意思決定できる
私たちの頭の中は、日々膨大な情報やアイデアで溢れています。
MECEは、そんな複雑に絡み合った思考を「モレなく、ダブりなく」整理する強力なツールです。
まるで散らかった部屋をカテゴリー別に片付けるように、目の前の問題の原因や、解決策となる要素を論理的に分解し、全体像を「見える化」できます。
問題の真の原因を瞬時に特定できる
複雑なトラブルが発生した際も、MECEを使って原因や要素を漏れなく洗い出すことで、どこに根本的な問題があるのかを明確に把握できます。もう、手探りで原因を探す必要はありません。
抜けや重複のない「確実な」計画が立てられる
新規プロジェクトの計画立案、業務改善策の検討など、多岐にわたる要素をMECEで整理することで、考慮すべき点がモレなく、しかも重複なく網羅されます。
これにより、「これで大丈夫」という確信を持って、自信を持って次のアクションに進むことができるようになります。
MECEは、あなたの思考の解像度を高め、迷いや不安を減らし、より迅速かつ的確な意思決定を可能にする思考の羅針盤となるでしょう。
②相手に伝わりやすい論理的な説明が可能になる
どんなに素晴らしいアイデアや分析結果も、相手に伝わらなければ意味がありません。
MECEは、あなたの考えを「論理的で説得力のある形」で表現するための土台となります。
情報がモレなくダブりなく整理されているため、聞き手はあなたの話の全体像を容易に理解し、納得感を持ちやすくなります。
会議やプレゼンテーションで意見が「ストン」と伝わる
整理された情報は、無駄がなく、一貫性があるため、あなたの主張は格段に説得力を増します。会議の議論がスムーズに進み、参加者があなたの意見や提案を深く理解し、迅速な合意形成につながるでしょう。
「あの人の話は分かりやすい」と評価される
上司への報告、部下への指示、顧客への提案など、あらゆるビジネスコミュニケーションにおいて、MECEで整理された思考は「分かりやすさ」の証となります。
あなたの説明はブレることなく、聞き手の疑問を先回りして解消するため、「論理的で信頼できる人」としての評価につながります。
MECEは、あなたのコミュニケーションスキルを飛躍的に向上させ、周囲からの信頼を獲得し、ひいてはあなたのビジネスキャリアを加速させる力となるでしょう。
MECEの手法(3種類)
MECEの考え方を実践するためには、以下の3つの手法を理解しておくと良いでしょう。
①プロセス分解
プロセス分解は、対象となる全体の流れを各プロセスに分割する方法です。
例えば、カレーの作り方をプロセス分解すると以下のようになります。
- 具材を切る(野菜や肉を食べやすいサイズに)
- 具材を炒める(油をひいた鍋で香りが立つまで)
- 具材を煮込む(水やスープを加えてじっくり火を通す)
- ルーを加える(煮込んだ後にルーを入れて味を調える)
- 仕上げる(とろみがつくまで煮込み、最後に火を止める)
プロセス分解は、作業の流れに沿って順序立てて整理できるため、非常に使いやすい手法です。
②層別分解
層別分解は、対象を複数の項目(層)に分ける手法です。
例えば、年代ごとに要素を分解します。
- 20歳未満
- 20歳以上30歳未満
- 30歳以上40歳未満
- 40歳以上50歳未満
- 50歳以上
各層が全体に対して足し算のように整理されるため、全体像が把握しやすくなります。
③変数分解
変数分解は、対象を構成する変数ごとに分ける方法です。
例えば、売上の場合は下記のように表せます
売上 = 客数 × 客単価 × 購買数
各項目が掛け算の関係にあり、数値としての比較ができるので、より説得力のある分析が可能となります。
ハイパフォーマーはこの方法を用い、より説得力のある分析を行っています。
MECEを使えるようになる方法
MECEの考え方は実践を通じて自然に身につきます。ここでは、初心者がMECEを習得するためのステップを紹介します。
1. 物事を2面で考える
最初から複数の要素で分解するは難しいので、まずは2個に分けて考える癖をつけます。
例えば、電気ポットからお湯が出ない場合を考えます。
「給湯ポットの中身が空なので、お湯が出ない」と決めつけるのではなく、ポット自体に問題があるかもしれないと考えます。
このように、内側(水)と外側(ポット本体)といった対立する概念で物事を見ることで、最初に思いついた考えにとらわれずに判断できるようになります。

対象を2面で捉えるために役立つのが反対の意味をもつ漢字を使った熟語です。
例で使った内外以外に、長短・白黒・天地・今昔など多くの熟語があります。このような熟語の切り口を使えば、簡単に物事を2つに分けることができます。
SUPER EIGHTの村上信五さんも物事を2つに分ける思考法『半分論』1を実践されているそうです。
2. 要素をさらに分解する
2つに分けた要素をさらに分解していきます。
ポットからお湯が出ない原因を内側と外側の要素に分割すると、以下のように分けられます。
☆【内側の要因(ポット内部・水の状態に関する問題)】
- 水の状態
- 水が空である: 水が不足している
- 水の汚れやスケール: 固形物やミネラル成分が注ぎ口や内部パイプに詰まっている
- 内部流路・配管の状態
- 内部配管の詰まりまたは破損: 水の通り道に異物が詰まっている、または配管自体に亀裂や変形が生じている
☆【外側の要因(ポット外部・本体・操作部品に関する問題)】
- 操作系統の故障
- 給湯ボタンの故障: 押下しても機構が反応しない、電子的に不具合がある
- 物理的外観や構造の問題
- 注ぎ口の変形: 外部の衝撃や経年劣化で注ぎ口が変形し、正常に水が出ない
- 本体のヒンジや接続部の不具合: 外部で電源供給や内部回路に影響を与える部分の問題
問題の原因となる選択肢が増えるので、視野が広がります。
3. 最初から複数の要素で分解する
慣れてきたら3-4個に分解して、全体の整理力が向上させましょう!
たとえば、ビジネスでよく使われる切り口(人・モノ・金・情報、戦略・組織・人・システムなど)を意識してみましょう。
“4C”などのフレームワークを活用すると分解しやすいので、フレームワークに関するこちらのサイト2をご覧ください。
場合によっては、三字熟語(例:大中小、朝昼晩)や四字熟語(例:東西南北、風林火山)も役立つかもしれません。
まとめ
MECEは、「モレなく、ダブりなく」物事を整理するための強力なロジカルシンキングツールです。
- 相手に説得力のある説明ができるため、議論やプレゼンテーションがスムーズに進む。
- 自分の考えが明確になり、問題の原因を整理しやすくなる。
MECEの主要な3つの分解手法があります。
- プロセス分解 対象の全体の流れを段階ごとに分ける方法
- 層別分解 対象を複数のカテゴリーに分類する方法
- 変数分解 対象を構成する変数ごとに分け、数値的な比較を可能にする方法
特に層別分解を実践する際は、下記のステップで物事を分けていくことで、考えを深めることができます。
- 物事を2面で考える
- 要素をさらに分解する
- 最初から複数の要素で分解する
今日から、日々の思考にMECEを取り入れて、より論理的かつ効果的に問題を整理する方法を身につけましょう!
最後に
本記事では、MECEのメリットを紹介後にその手法と実践方法をお伝えしました。
今日から物事を2面で考えるようにしていただき、モレなくダブりなく分類する方法に慣れていただければと思います。
ロジカルシンキングが苦手な方でも、相手に自分の意見を伝える技術を下記投稿で紹介しています。ご興味あればご確認ください。
また、自分の思考を整理して相手に伝えられるようになりたい方は、以下の記事も要チェックです!
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